成長する「手に職」・生き残る「手に職」の選び方
インターネットによる中抜き現象と職業の衰退
インターネットにより、新たなる職業の存亡の危機が生まれている。
中抜き現象という形で、代理業や仲介業、小売業に変化が訪れ、ユーザーと販売元業者・サービス提供業者がダイレクトに取引する傾向が強まっているからだ。
ポイントとなるのは、代理・仲介・小売り、を行う事業者の付加価値性だ。
付加価値性とは、中小事業者では共通して価格競争力がないため、専門サービス性、個別対応力などが中心になる。
特に、目で見て確かめなくても商品内容が確定している書籍・CD・その他メーカー品は、ユーザーがより安い所で買うのは当然で、インターネットによるディスカウントの影響は、量販店とともに必然的に出てくる。
また、中小の旅行代理店など、営業力が弱いところは、ホテル・旅館が、インターネットによる新たな集客力のあるサービス会社と提携し、予約の受け入れを行っていることの影響を受ける。
そのため旅行代理店の付加価値が問われている。
「手に職」というのは、このような中抜き現象の危機にさらされる代理・仲介・小売りの事業者にとっても、差別化となるオリジナルなサービスを付加するひとつの方法になる。
そして、「手に職」を持った人の付加価値が再認識される。
デジタル系スキルに注目
デジタル系の専門スキルの習得は、今後の成長市場参入のために必要な道である。
単にパソコンの操作技術や、Webの制作技術が重要というより、自分の強みを持っていることが重要である。
強みとは、
●技術(システム設計、プログラミング)に強いか
●デザイン、クリエイティブに強いか
●コンテンツ(専門分野などの内容自体)に強いか
である。
デジタル分野は技術進歩が卑く、第1線でやっていくには得意分野を磨いていかなければならない。
それだけ競争が激しい。
若い年代であれば、技術かクリエイティブもしくは両方の力をつけることになり、実務の中で強いコンテンツを身につけていくことになる。
社会経験があり、コンテンツの方向が明確であれば、技術については基礎的なものは身につける必要はあるが、専門的なことは他のスタッフに任せればいい。
プロデューサー、ディレクターの職種での生き方になる。
IT分野以外の既存産業での経験者は、従来のアナログの基礎知識・ノウハウを生かし、新分野の開拓に先陣をきれば、大きなビジネスチャンスを得ることができる。
市場、顧客とのネットワークがすでにあるので、ビジネス化が早い。
自分の専門分野の知識を生かし、デジタルの最先端でなくてもコンテンツ型の方向がある。
資格と「手に職」の複合型は堅実性が抜群
医療系の資格は国家資格で、有資格者でないと業務を行えない独占性が保証されている。
また罰則規定も厳しい。
デジタル専門職とは異なり、デジタル化した機器を扱うことはあってもあくまでも道具としてであり、また、多くの分野は個別の患者に対応した手仕事的要素が必ず残る。
問題点は、多くが3年以上の指定養成所での学習と、私立専門学校であればかなりの高額の授業料が必要になることだ。
分野にもよるが3年間で500万円程度は必要になる。
この時間と費用の投資が大きいため高卒で入学するのが現実的ではあるが、某大手東洋医療専門学校に聞くところによると最近ははり師・きゅう師養成科で入学者の内、社会人になってからの入学が過半数を超えたという。
社会人の内、40代になってからの早期退職届もいるという。
早期退職による退職金と上乗せ資金があるため、3年間の時間と教育投資に耐えられるという。
ただし、医療分野も飽和化の波があるものがある。
市場状況をよくみることだ。
確実に不足して出目が明確な分野に、理学療法士と作業療法士がある。
いずれもリハビリテーションの事業自体がやっと病院の中で幅広く定着化してきた点に共通性があり、今後の成長性がある。
同時に、介護保険で訪問リハビリテーション事業が明確になり、従来の施設型の展開以外に幅が広がる可能性がある。
医療以外でも、情報通信に関連した施工分野などは需要の拡大が明確であり、施工関連資格が生きる。
情報通信の施工に関連する資格取得は、時間も資金も少額で済み、むしろ現場に就職して会社の経費で教育講習を受けたりできる分野でもある。
また独立にも向いている。
ITの先端分野ではないが、インフラを支える部分であり、技術の最先端を走り続けるよりはブルーカラーではあるが堅実であるともいえる。
「手に職」型公務員や公的分野付着路線は手堅い
専門職公務員として、試験を経て採用される分野では、受験資格で専門分野出身が資格要件になっているものと、学歴、出身学部などに関係なく一般の人が受けられるものとがある。
前者は、地方公務員として栄養短大などを出て、栄養士資格を取得した人などが即採用されるケースだ。
後者は、航空管制官などである。
公務員としての専門職ではないが、事実上の専門的な仕事では、麻薬探知犬ハンドラーなどがある。
税関職員として入所し、その後麻薬探知犬の仕事を担当する。
ただし、あくまでも一般職採用であり、専門職配属を前提にしたものではない。
消防庁も救急と消防があるが、自由に志望コースを選択できない。
したがって、一般で救急救命士を最初から志望しても、救急に配属されるかどうかは約束されていない。
半面、海上保安学校などのように、学校入学が海上保安庁の就職に直結する分野もある。
手に職をつける意味がストレートにある。
個人の自営業であるが、事実上、仕事の特性から公的な分野に結びついた「手に職」分野もある。
教育については養成施設があるものとないものとがある。
初生ひな鑑別士は、全国で養成所がひとつのみで、養成所修了後登録し仕事のあっせんなどを受けることができる。
犬の訓練士のうち警察犬訓練では当然警察との関係が深くなる。
一般的「手に職」分野は特殊化をはかれ
一般的な「手に職」分野も当然景気の影響を受ける。
また、需要の伸びがなければ苦しい。
ある車いすメーカーでは、介護保険での車いす需要の拡大に期待していたが需要が伸びずに困っているという。
車いす製造は職人たちにより手作業で行われており、手仕事の世界だ。
今その技術を生かして、他の製品での活路をはかっている。
「手に職」志向の人は、ともすればマーケットに弱いケースが多い。
ニーズ型ではなく、シーズ型で、需要に沿って考えるのでほなく、自分のできることから考える。
技術を持つがゆえの発想だ。
不況による市場が低迷している時や、自分の技術分野が成長期を過ぎている場合は、市場の絞り込みや技術の特化が必要だ。
そうしないと顧客がどこにいるかわからなくなってしまう。
そのためには同じ技術や分野でも誰もがやっているものではなく、特殊な分野をやることだ。
マーケットは狭くても、やる人がいなければ広域化した市場で営業することができる。
たとえば、一般的な住宅リフォームではなく、大谷石のへい壁などのリフォーム事業を専門に開発した人がいる。
その人の話では、大谷石は最近採掘できなくなっているため、施工するところも少ないとのこと。
また高度成長期などに流行ったこともあり、それらの住宅が20年、30年たち、大谷石の風化が目立つ時期にあることだという。
また、リフォームになると、左官職人も新たに施工するのと異なり、洗浄、削り取り、張り付けなどの特殊性があり専門性がともなうという。
左官では、じゅらく壁や京壁などの仕事が減り、技術の衰えがある。
そこに最近、シックハウス対策に有効な、天然素材で空気吸着性のある珪藻土が注目された。
珪藻土を塗るには確かな左官の技術が必要だ。
環境に関心のあるユーザーの声で、職人は扱いなれていない素材と面倒な仕事にむしろ消極的だという。
時代の変化やユーザーの動向に関心が薄く、自分の技術本位の職人の保守的弊害が現れている例だ。
「皆がやっているからやるのではなく、他の人がやっていないことをやる」という精神が重要だ。
個性を徹底的に出し、オリジナルなものを作る
手仕事には個性のある作家的な要素のある分野もある。
民芸品は、本来職人が日常雑器を作ったものだ。
名前をしるさない無名性が基本だった。
しかし、最近民芸品は作家ものになってきた。
作家の作品としての価値が高まっている。
逆に、雑貨・家具など量産型の手仕事は、安い工賃のアジアでの海外生産が中心となり、産業の空洞化が激しく、コスト競争では勝負がついてしまった。
そして国内の職場が失われていっている。
手仕事は徹底的に作家的方向や、顧客の要望に個別的に沿うオーダーメード市場や、その場で作ってうまい時に食べさせる飲食などが生き残る道だ。
リピーターをつくり、競争に勝ち残るには、いずれも作り手の個性が必要だ。
他にはない独自性と完成度の追求は永遠の課題である。
自分自身の好きなことに忠実に
「手に職」の生き方は、今まで述べたようなビジネスとしての側面以外に重要な要素として生き方の問題がある。
「手に職」の生き方は自分に素直に無理しない生き方でもある。
また、人から喜ばれることを自分の喜びにする生き方でもある。
そして何よりも自分の好きなことであればすばらしい。
ホワイトカラーの組織の仕事では、自分のやった仕事を子どもに形として伝えにくい。
「手に職」の仕事は、子どもにその仕事ぶりや、作品、仕事の形を目で見てわかるように伝えやすい。
自分の生きてきた証であるように。
- モノが語る職人の物語~『手に職。』 森まゆみ著(評:澁川祐子):NBonline(日経ビジネス オンライン)
- 最強ワーキングマザー対談(9)「手に職、大事ですよね」:かあさんNEWS - 毎日jp(毎日新聞)
- 手に職をつけるということ | | こちら側からあちら側へ | あすなろBLOG
- あと、それは手に職をつけてこなかったお前が悪い、ねw
- 小飼 弾が語る! 「手に職」と「天職」の間には
- 手に職をつけたい40代専業主婦 : キャリア・職場 : 発言小町 : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
- 手に職ネット
- 手に職をつけるアルバイト探し
- 手に職をつけるということ | | こちら側からあちら側へ | あすなろBLOG
- 『ガテン net』 ワザが身につく、職人になれる!就職・転職情報が満載
- 寿司職人の就職専門サイト 寿司JOB
- ロテ職人の臨床心理学的Blog: 就職する前に指導教官に「持ってる?」と聞かれた本
お気に入りのブックマーク・RSSに登録 »
関連記事
サイトマップカテゴリー:今こそ「手に職」をつけるべき
トラックバック(0)
http://www.loan-me.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/3369


